最近の円相場の特色を東京外国為替市場での一九九五年に入って以降の相場動向から紹介してみます。一九九四年六月に一ドル=一〇〇円台を突破した円相場も同年末にかけて一ドル=一〇〇円台に下落し、年明けから一ヵ月余りは安定した値動きが続いていました。このため多くの市場関係者が「今年は円安の年になる」と予想していました。しかし三月に入ると、状況は一変。九四年末に起こったメキシコ通貨危機をきっかけに、中南米からアジアに通貨不安が徐々に波及していたのです。市場には「メキシコ通貨危機が長引けば、経済的に関係の深い米国にも深刻な影響を及ぼす」との思惑が広がり、より安全な通貨と見られた円やドイツマルクに投資家のドル資金が流れ出しました。その後、円相場は急上昇し、九四年十一月につけた円最高値(一ドル=九六円一一銭)をあっさりと更新。「日米間の貿易不均衡が是正されないかぎり、円高は止まらない」との見方も出て、一ドル=九〇円を突破しました。